加藤歯科クリニック - ニュースリリース


2007/06/15 『主治医が見つかる診療所』 発行:アーティストハウス
『主治医が見つかる診療所』
<本文より・P.104-P.107に掲載>

口臭の外来医 加藤興一医師

口臭の原因には、大きくは、歯科的な問題と口中の生理機能の低下、あとは全身的なもの、例えばと糖尿病や内臓疾患などの三つが絡んでいます。歯科的なものなら、虫歯、歯ぐきの腫れ、歯槽膿漏など、また口の中の生理機能なら、舌の運動機能の低下、唾液の量の低下、唾液の菌を洗い流す作用などの低下もかかわります。中でも多い原因は、口中にあります。
自律神経とホルモンの働きが口の中に影響
食事を一日三回食べないなど、生活のリズムができあがっていない人は、唾液を出す自律神経の機能が乱れてきて、うまく唾液の機能をコントロールできなくなり、口臭が出やすくなります。また、自律神経の働きは正常でも、興奮や緊張によって、やはり自律神経が働き、口が渇きます。口が渇いた状態も、唾液の絶対量が少なくなって、結果、機能が追いつきませんから、口臭が出やすくなります。
ホルモンバランスの変化、例えば、思春期、女性の妊娠中や更年期などもかかわります。いろいろなホルモンそれぞれが出すぎたり少なすぎたりすると、そのせいで元気になってしまう細菌が口の中にはいます。口中には何百種類もの細菌がいるので、どのホルモンが変化したかによって、それぞれ特有の口臭がでます。
加齢と口臭は、実は関係ありません。加齢とともに口臭に悩む人は、歯周病であったり、咀嚼力の低下で唾液の分泌が少なくなったりすることが原因です。また、入れ歯自体に、いろいろなにおいを吸い込む性質があることも関係しています。
口臭のメカニズムがわからないから悩む
どんな人にも口臭があるのですが、「口臭で悩む人」と「口臭が強い人」は違います。「悩む人」は、ときどき口臭が強い自分に気づくからこそ、ひどく気にしてしまうのです。たまに自分の汗臭さに気づくのと同じことなのですが、口臭は、どんな臭いでどの程度強いのか自分でわからないから、心理的に悩みが大きくなる。一方、口臭が実際に「強い人」、何らかの対策をとらなければならないような人に限って、いつも香水をつけすぎている人と同じで、自覚がまったくなく、家族に無理やり外来に連れてこられたりするものなのです。

<以下続く>